オニものがたり(1)

むかしむかしのこと。

あるむらのはずれに オニが ひとりですんでおりました。

そのオニは とてもおおきくて まっかなからだをしていて にほんのつのをはやし

それはそれは おそろしいかおをしておりました。

オニはおこったり わらったり ないたりしたことがありませんでした。

それはだれも オニのすがたをおそろしがって ちかづこうともしなかったので

オニはうまれてから いちども ひととはなしをしたり けんかをしたり

しかられたり わらいあったり やさしくされたことが なかったからなのです。

 

オニはひとりで まいにちまいにち むらはずれの くさっぱらにすわって、

むらびとたちのようすを とおくからながめながら かんがえておりました。

「ぼくは こうしてずっと ひとりでいるのが さみしくてたまらない。

どうにかして むらのひとたちとなかよくなって

わいわいとにぎやかで ほたほたとあたたかそうな

あのむらのなかに すみたいものだ」

オニは ときどき ゆうきをふりしぼって むらにでかけてゆきました。

もしかすると むらびとたちのきがかわって

なかよくしてくれるかもしれないと おもったからです。

でも おおきくて おそろしいかおをしたオニがやってくると

おとなも こどもも いぬも にわとりも むしも おおあわてでにげだしてしまいます。

むらびとは いえにとびこんで とびらをぴったりとしめて、なかからさけぶのです。

「かえってくれ! わしらは おまえがおそろしくてたまらないのだ!」

 

あるひ、オニが いつものように まちはずれの くさっぱらにすわって

むらびとたちのようすを とおくからながめておりますと

だいくが にぐるまを こしらえているのがみえました。

トン、テン、カン  トン、テン、カン

しかくいざいもくや たいらにけずったいたを かなづちでたたくと

とてもつかいよさそうなにぐるまが みるみるできあがってゆきます。

オニは おもいました。

「そうだ、ぼくはからだがおおきくて ちからもつよい。

もっとおおきなにぐるまを こしらえたら、

むらのひとたちがよろこんで なかよくしてくれるかもしれない」

そこで オニはもりにでかけていって、おおきなきを なんぼんもひきぬいてきました。

えだと ねっこをむしりとって、とてもおおきくて ふといまるたをこしらえ

かなづちのかわりに いわでたたいて。

ドン、デン、ガンッ  ドン、デン、ガンッ

しかし そのおおきなおとに、おとなも こどもも いぬも にわとりも むしも

すっかりおびえてしまいました。

「なんという おおきなおとだろう。

めのまえにいる よめさんのこえすら きこえやしない。

それに あのおおきくて ぶかっこうなにぐるまは いったいなんだ?

あんなものにのって オニのやつが せめてきたりしたら、

わしらは ひとたまりもないじゃないか!」

つぎのひ。

オニが にぐるまのしあげにつかう きのかわをとりにいって もりからもどってみると

にぐるまのうえに ちいさなてがみが おいてありました。

「やあ、さっそく むらのひとたちが

なかよくしようと てがみを くれたのじゃないかしら」

オニは きたいにむねをおどらせて そのちいさなてがみを ていねいにひらきました。

「はいけい、オニさま

あなたさまのだす おおきなおとと じひびきは

もじどおり わたしたちのせいかつを ふるえあがらせます。

どうか にぐるまをつくるのを やめてくださいませ。

むらびとたちより けいぐ」

オニは おこったかおもせず ないたかおもしませんでしたが

きのせいか ほんのすこし かたをおとしたようにみえました。

「そうか それなら もうにぐるまをこしらえるのは やめることにしよう」

 

<<つづく>>

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えもさん

立川駅南口からおおむね徒歩7分 路地裏にひっそりと咲く小さな野の花 花の精は坊主頭のいかつい親父 それがGOOD&BAD TIMES お酒だけ、コーヒーだけでも朝までマッタリまったり 願わくば、心のままに心ゆくまで過ごされんことを