オニものがたり(2)

オニものがたり(1)

2016.05.18

それから なんにちかたって

オニが またいつものように

むらはずれのくさっぱらから むらびとたちのようすを ながめていますと

ひゃくしょうが はたけで あおなを そだてていました。

げんきにそだった なのはが ひのひかりを あびて

きらきらと かがやいているのを みて オニは おもいました。

「そうだ、 ぼくは からだがおおきくて ちからもつよい。

もっとおおきな はたけをたがやして

もっとたくさんの さくもつをつくれば

むらのひとたちも よろこんでくれるかもしれない」

オニは くさっぱらを たがやそうかとおもいましたが

また 「おとが うるさい」と むらびとに おこられるにちがいないので

やますそにあった おおきなどうくつのなかに はたけをつくりました。

でも どうくつのなかは ひのひかりが あたらないので

さくもつが ちっともそだちません。

オニは まいにちのように とおくまででかけていっては、

あたらしいさくもつを さがしてきて うえてみました。

そんな たくさんたくさん うえたなかで

ひとつだけ そだったものが ありました。

それが うど という さくもつでした。

オニは よろこんで うどを たくさんつくりました。

そうして うどの たばをかかえて ひゃくしょうのいえにゆき、

ひゃくしょうを おどろかさないよう そっとおいて

くさっぱらから ようすを うかがっていました。

ゆうがたになって ひゃくしょうが はたけから かえってくると、

いえのまえに しろくて ながいぼうのような

みたこともないものが たばになって おいてあります。

おそるおそる ちかよってみますと

きりくちは みずみずしくて さわやかな かおりがしました。

「これは おいしそうだ。

だれが おいていったのかは しらないが すこし たべてみようかい」

ひゃくしょうは うどを そのまま かじってみました。

すると かわは ひどくかたくて、

くちのなかが えぐさと あおくささで いっぱいになりました。

ひゃくしょうは あわてて うどを はきだして さけびました。

「こいつは ひどい!

こんなものを よこすなんて どうせまた オニのやつの しわざだな。

まったく ひどいめに あわせるものだ!」

ひゃくしょうは うどを はたけのすみに うめて いえに かえってしまいました。

オニは そのようすをみて

あいかわらず おこったかおも ないたかおもせず

ただ すこしのあいだ とおくのそらを みあげました。

「そうか おいしくないのでは だれも たべてはくれまいな」

 

それから なんにちかたって、

オニが またいつものように

むらはずれの くさっぱらから むらびとたちのようすを ながめていますと

こどもたちが たけひごと かみでつくった たこをとばして、

たのしげに あそんでいるようすが みえました。

それは とてもたのしそうにおもえたので、オニはおもいました。

「そうだ、ぼくは からだがおおきくて ちからもつよい。

もっとおおきな たこをつくって もっとたかくとばせば、

こどもたちが いっしょにあそんでくれるかもしれない」

オニは たけのはやしへ でかけてゆき、よくしなるたけをえらんで

なんぼんかむしりとってきました。

そのたけに、じぶんがたいせつにきていた とらのけがわを ていねいにはって

しあげに おおへびがぬぎすてた なが~いぬけがらを ぶらさげて

それはそれはおおきなたこを こしらえました。

むらびとたちは、 オニが そらたかくあげた たこをみて こういいあいました。

「みろ、あのおそろしいもようと ながいしっぽは

きっと りゅうに ちがいない!

オニのやつが りゅうをよびだして むらをほろぼしにきたんだ!」

むらは おおさわぎ!

おとなも こどもも いぬも にわとりも むしも みんなにげだしてしまいました。

オニは そのようすをみて あいかわらず おこったかおもせず ないたかおもせず、

ただ ちいさなためいきをつきました。

「なんということだ。ぼくは すっかりむらのひとたちを こわがらせてしまった」

オニは そのひから すがたをけしてしまいました。

むらびとたちが おそるおそる むらにもどってみると

むらは なにごともなく のこっているうえに

オニも いなくなっておりましたので、みんな すっかり あんしんしました。

「やれやれ、やくびょうがみの オニが やっといなくなってくれたぞ」

 

<<つづく>>

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ABOUTこの記事をかいた人

えもさん

立川駅南口からおおむね徒歩7分 路地裏にひっそりと咲く小さな野の花 花の精は坊主頭のいかつい親父 それがGOOD&BAD TIMES お酒だけ、コーヒーだけでも朝までマッタリまったり 願わくば、心のままに心ゆくまで過ごされんことを