オニものがたり(3)

オニものがたり(2)

2016.05.24

オニものがたり(1)

2016.05.18

それからまもなく

むらには わるいできごとが いくつも おこるようになりました。

あるひのこと。

たくさんのからすが やってきて

むらの さくもつや たくわえてあった たべものを みんなたべてしまいました。

そればかりか むらびとたちを おいまわしては

するどい くちばしで こつこつと つつくのです。

むらびとたちは いえのなかに にげこんで

とびらを しめたまま いっぽも そとに でることが できなくなってしまいました。

おなかがすいても のどがかわいても どうすることも できません。

むらびとたちは すっかり まいってしまいました。

オニは やまむこうに いたのですが、

むらのほうが 「がーがー」とさわがしいので

また こっそりと ようすをみに もどってきました。

そうして からすたちが わがものがおに むらに いすわっているのをみると

いてもたっても いられなくなりました。

オニは むらはずれまで とってかえすと

あの おおきな たこを とりだし

かぜに のせて そらたかく あげました。

そのようすは まるで りゅうが まいおりてきたようだったので

からすたちは びっくりして

きたときよりも おおきなこえを あげながら とおくへ にげさって ゆきました。

むらびとたちは からすたちの おおさわぎする こえが きこえなくなったので

ふしぎにおもって いえのそとに でてみました。

すると からすたちは いちわも いなくなっているではありませんか。

ふと とおくをみると

オニが おおきなたこをかかえて あるいてゆくのが みえました。

オニは まだ むらびとたちが おこっているかもしれないとおもい

そのまま やまむこうに さってゆきました。

 

でも わるいことは これだけでは おわりませんでした。

むらのいったいに あめがふりはじめたのです。

あめは どんどんつよくなってゆき

まもなく ふろおけを ひっくりかえしたような おおあめになりました。

みちも はたけも やまも みずがあふれて

いえのなかにまで みずが はいってくるしまつです。

むらびとたちは いえの にかいや やねのうえにのぼって

ながれてゆくみずを おろそしげに みているほか ありませんでした。

やがて やねにのぼっていた むらびとのひとりが おおごえでさけびました。

「たいへんだ! つつみがくずれて かわのみずがあふれているぞ!」

そのとおり!

むらのちかくをながれている おおきなかわが

ながれをかえて むらのほうに ながれてくるではありませんか。

むらびとたちは めをとじて みみをふさいで

からだをよせあって ぶるぶると ふるえていました。

オニは このときも むらからはなれた やまむこうに いたのですが

あまりに あめがつづくので むらがしんぱいになって こっそり もどってきました。

そして かわがあふれているのをみると

いそいで あのにぐるまのところへ かけてゆきました。

オニは にぐるまをひいて ちかくのやままで かけてゆき、

おおきないわを たくさん にぐるまにのせて

つつみのくずれたところへひいてゆきました。

それから いわを どんどんなげこんで つつみのやぶれを うめました。

やがて あめがやんで はれまがひろがりました。

みずもすっかりひいたので むらびとたちは おそるおそる じめんにおりてみました。

すると あれほどながれてきた きや どろが

すっかり きれいになっているではありませんか。

ふとみると みちには おおきなわだちの あとがありました。

「こりゃ いったいぜんたい どうしたことだ?」

むらびとたちが わだちのあとをおって とおくをみると

おおきなにぐるまに たおれたきや くずれたいわをのせて

オニが とおざかってゆくのが みえました。

オニは まだ むらびとたちが おこっているかもしれないとおもい

また やまむこうに さってゆきました。

 

からすに おそわれ

こうずいに みまわれ

むらは すっかり あれはててしまいました。

はたけも いえもながされて たべるものもありません。

むらびとたちは おなかを すかせて すっかり きおちして しまいました。

あしたどころか きょうたべるものさえ ないのです。

もう むらをすてて ほかのとちに うつるげんきもありません。

まいにち 「どうしよう」と なげくばかりでした。

オニは そのようすを やまのむこうから じっとみつめていましたが、

あるばん おもいきって どうくつにゆき、

あの うどを たくさんかかえて むらのまんなかの ひろばにおきました。

おいしくはないかもしれませんが  なにもたべないより ましだとおもったのです。

よくあさ むらびとたちは ひろばにおかれた うどを みつけました。

「これは いつかオニのやつが うちのまえにおいていったやつだ」

ひゃくしょうが いいました。

「いくら こんなものがあっても たべられなければ しょうがないじゃないか」

すると むらの ちょうろうがいいました。

「これは むかし とおくのむらで みたことがあるよ。

このままでは たべられたものではないが ゆでると なかなかおいしいものなのだ」

むらびとたちは さっそく うどを ゆでて たべてみました。

「なんてことだ! こんなに おいしいものだったなんて!」

 

<<つづく>>

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ABOUTこの記事をかいた人

えもさん

立川駅南口からおおむね徒歩7分 路地裏にひっそりと咲く小さな野の花 花の精は坊主頭のいかつい親父 それがGOOD&BAD TIMES お酒だけ、コーヒーだけでも朝までマッタリまったり 願わくば、心のままに心ゆくまで過ごされんことを