むらびとたちは いままで オニが してきたことに きがつきました。
オニは わるいことをするどころか じぶんたちを まもってくれていたのだと。
それにくらべて じぶんたちは
なんと こころのせまい ふるまいをしてきたのだろうと。
「オニに あやまらねば ならん」
ちょうろうが いいました。
「せいじつに あやまって、
できることなら この うどの つくりかたを おしえてもらおうではないか」
さっそく むらびとの だいひょうのものが くさっぱらに でかけてゆきました。
そうして オニの まえにひざまづくと いままでのことをあやまりました。
オニは あいかわらず おこったかおも よろこんだかおも しませんでしたが
しきりに あたまにはえた にほんの つのを なでまわしていました。
むらびとたちは オニに うどの つくりかたをおしえてもらい
じぶんたちも たべ
また ほかのむらにも うって
しだいに ゆたかに なってゆきました。
やがて むらが おおきくひろがって
くさっぱらは むらのなかに とりこまれて こうえんになりましたが、
オニは あいかわらず そこすわりこんで なにごとか かんがえこんでいます。
オニは むらびとたちは すっかりなかよくなり
こどもたちが オニに よじのぼったり
まわりを はしりまわって あそんでいますが
あいかわらず おこったかおも よろこんだかおも しません。
ただ ひとまえにでても おどおどとしたようすは しなくなりました。
そして オニが そこに もどってきてからというもの
むらに おおきな わざわいは おこらなくなりました。
むらは どんどん おおきくなり
まちになり とかいになりました。
オニは いまでも そこにいます。
そうして そこにすむ ひとたちに どうしたらよろこんでもらえるだろうと
ずっと かんがえこんでいるのです。
<<おしまい>>